视频字幕
デデキント切断とは、ドイツの数学者リヒャルト・デデキントが考案した、実数を厳密に定義するための方法です。有理数全体の集合を2つの部分に分割することで、無理数を含む実数を構成できます。
デデキント切断の厳密な定義を見てみましょう。有理数全体の集合Qを、2つの空でない集合AとBに分割します。この分割では、AとBの和集合がQ全体となり、AとBの共通部分は空集合です。そして最も重要な条件として、集合Aのどの要素も集合Bのどの要素よりも小さくなければなりません。
具体例として、√2を表すデデキント切断を見てみましょう。集合Aには、負の有理数と、正の有理数のうち2乗すると2より小さくなるものが含まれます。集合Bには、正の有理数のうち2乗すると2より大きくなるものが含まれます。この切断により、有理数だけでは表現できない√2という実数が定義されるのです。
デデキント切断には重要な性質があります。集合Aには最大元が存在せず、集合Bには最小元が存在しません。有理数の列がいくら√2に近づいても、√2そのものは有理数ではないからです。この「隙間」こそが実数を表しており、デデキント切断により有理数だけでは表現できない実数が厳密に定義されます。これにより完備な実数体が構成されるのです。
デデキント切断は、有理数から実数を厳密に構成する方法として、現代数学の基盤となっています。有理数には隙間がありますが、デデキント切断によりこれらの隙間を埋めることで、完備な実数体が構成されます。これにより解析学や微積分学の厳密な基礎が提供され、無理数の存在も数学的に証明されるのです。デデキント切断は、数学の論理的厳密性を支える重要な概念なのです。